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『4分間のマリーゴールド』壮大なラブファンタジーが今夜、終わってしまう

今宵、どんなドラマを描こう 第7回

■No.1ファンタジーは菜々緒の存在感に尽きた

『4分間のマリーゴールド』最終話より(写真提供:TBS)

 なんと忙しいドラマだと視聴していると、先週SNSを騒つかせるシーンがまた登場。それが2019年の“いい男”という言葉を欲しいままに操った、横浜流星さんによる壁ドンである。同級生の女子に告白する甘酸っぱいシーンに、正直に言うと私もドキッとした。第9話の個人的ハイライトはここだった。

 ……と並べてみると、ドラマ要素のおいしいところがギッチリと真空パックされている。これがこの作品の魅力だ。いろいろな要素が毎週のように矢のように飛んでくる。そうか、この作品はファンタジーだったのだと先週の壁ドンでやっと脳内整理ができた。でも一番のファンタジーはなんだったのか? と振り返ると、やっぱり菜々緒さんの人並み外れたスタイルが浮かんできた。

 菜々緒さんといえば、演技デビュー当初から妖艶なビジュアルで『悪』の雰囲気が強かった。『サイレーン 刑事×彼女×完全悪女』(関西テレビ系・2015年)で見せた、サイコパスの役はハマり過ぎていて脳裏から離れない。どこかにキツさのある役が多く、そのパブリックイメージを覆す意味での沙羅役だったと聞いた。画家志望で、義弟のことが好きになり、ひょっとしたら一年後に死んでしまうかもしれない運命を背負った女性を菜々緒さんは演じた。悲しい未来を知っていることが以外は、どこにでもいる普通の女性だ。

 ただやはり、あのスーパーボディには目がいってしまうのである。絵を描くときにススッとキャンバスに向かって伸びている、細くて長い腕。信じられない細いウエスト。どうしても目を逸らすことはできず、つい注目をしてしまう。そんな様子を見ていると、次作ではいつもの菜々緒さんが見たいと思ってしまった。でもあかん、この作品はファンタジー。凡人には触れることのない世界が詰まっているのだから、今夜は沙羅が生きてくれることだけを祈ろう。

『4分間のマリーゴールド』最終話より(写真提供:TBS)

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小林久乃

こばやし ひさの

コラムニスト、編集者

出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」(K Kベストセラーズ)にて作家デビュー。最新刊は趣味であるドラマオタクの知識をフルに活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」(青春出版社刊行)。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディア構成、編集、プロモーションなどを業とする、正々堂々の独身。最新情報はhttps://hisano-kobayashi.themedia.jp

 

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  • 小林 久乃
  • 2019.11.30